B型肝炎給付金の相談なら医療問題専門の法律事務所が安心です/弁護士法人フラクタル法律事務所

B型肝炎給付金の申請は自分でできる?
弁護士に依頼した方がいい理由などについても解説

 

B型肝炎という言葉を、ネットニュースやテレビのニュースなどで見たことがある方もいるのではないでしょうか。B型肝炎給付金の要件に該当すると国から最大3600万円の給付金が支給される可能性があります。今回はB型肝炎給付金の申請方法や弁護士に依頼した方がいい理由などについて解説します。

■B型肝炎って何?

まず、B型肝炎がどんな病気か知らない方もいると思いますので解説します。B型肝炎とは、B型肝炎ウイルス(HBV)が血液や体液を介して感染して起こる肝臓の病気です。肝炎が持続すると、慢性肝炎から肝硬変、そして、肝がん(肝細胞癌)になる可能性があります。

■B型肝炎給付金が支給されるようになった理由は?

B型肝炎がどんな病気か理解できたところで、厚生労働省HPの「B型肝炎訴訟について」を基にB型肝炎給付金ができた理由について解説します。
日本では、1948年に予防接種法が定められ、伝染病予防のため国民に予防接種を受けることが義務付けられ、国から全国の家庭に予防接種を受けるよう通知が来ていました。学校や公民館などで子どもたちが列を作って予防接種を受けることを集団予防接種と呼びます。

集団予防接種が開始された当初から、先進諸国では注射器の針と筒は一人ひとり交換することが推奨されており、日本でも注射器の針と筒を連続使用するとB型肝炎に感染する危険性があることを認識していました。しかし、1988年に国が注射器の針と筒を一人ひとり交換するように指導するまでの40年間、多くの集団予防接種の現場では注射器の針と筒が連続使用されていました。そのためB型肝炎の感染が拡大し、全国で40万人以上の人が感染したと言われています。
集団予防接種によってB型肝炎ウイルスに感染したのは、注射器の針と筒の連続使用を認識していたにもかかわらず放置していた国に責任があります。そのため、1989年から国に対する先行B型肝炎訴訟が起きました。そして、2006年の最高裁判決で「注射器の針と筒の連続使用をした場合、B型肝炎ウイルスに感染する危険性があることについて国は当然に予想できた」と判断され、国の責任を認めました。

最高裁判決が出た後には、全国でB型肝炎訴訟が提起されました。そして、2011年に国と原告との間で基本合意書が締結され、2012年に「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」が施行されました。その結果、裁判上の和解が成立した方に対して、国はB型肝炎給付金を支給することになりました。

■B型肝炎給付金の支給対象者、認定方法などについて

B型肝炎給付金が支給されるようになった理由に続いて次は、給付金の支給対象、認定方法などについて解説していきます。

(1)支給対象者

B型肝炎給付金の支給対象になるのは、1941(昭和16)年7月2日から1988(昭和63)年1月27日生まれの方で、1948(昭和23)年7月1日から1988(昭和63)年1月27日までの間に集団予防接種を受けたことにより、B型肝炎ウイルスに持続感染した方、または、母子感染した方、B型肝炎で亡くなった方の相続人です。

(2)支給対象者の認定方法

B型肝炎給付金の支給対象者の認定ですが、先ほど解説した通り裁判上の和解が成立した方に対して、B型肝炎給付金が支給されます。
そのため、B型肝炎給付金の支給を受けるためには、国に対して損害賠償を求める訴訟の提起または調停の申立などを行って、支給対象者として認定される必要があります。

(3)支給金額

B型肝炎給付金の支給金額は以下の通りです。

病態 支給金額
死亡・肝がん・肝硬変(重度)(B型肝炎に発症後20年を経過していない方) 3,600万円
死亡・肝がん・肝硬変(重度)(B型肝炎に発症後20年を経過している方) 900万円
肝硬変(軽度)(B型肝炎に発症後20年を経過していない方) 2,500万円
肝硬変(軽度)(B型肝炎に発症後20年を経過していて、現在治療を受けている方など) 600万円
肝硬変(軽度)(B型肝炎に発症後20年を経過していて、現在治癒している方) 300万円
慢性肝炎(B型肝炎に発症後20年を経過していない方) 1,250万円
慢性肝炎(B型肝炎に発症後20年以上経過していて、現在治療を受けている方など) 300万円
慢性肝炎(B型肝炎に発症後20年を経過していて、現在治癒している方) 150万円
無症候性キャリア(B型肝炎に発症後20年を経過していない方) 600万円
無症候性キャリア(B型肝炎に発症後20年を経過している方) 50万円+定期検査費の 支給等

※上記の支給金額以外に、B型肝炎訴訟などに関する弁護士費用(上記支給金額の4%に相当する額)、特定B型肝炎ウイルス感染者であることを確認するための検査費用などが支給されます。

(4)損害を求める訴訟の提起または調停の申立方法

B型肝炎給付金の損害を求める訴訟の提起または調停の申立方法は以下の流れで進めていきます。

①医療機関などに対して必要書類の請求

B型肝炎ウイルスの感染経路は、集団予防接種等における注射器の連続使用以外にもさまざまなものが考えられます。そのため、司法手続きのなかで、集団予防接種等における注射器の連続使用が原因でB型肝炎に感染したことの確認が必要です。
医療機関などに請求する必要書類は、国と和解協議をする時に要件を満たすかどうかの重要な判断資料になります。
B型肝炎給付金の対象者は、(ア)一次感染者(本人が集団予防接種によって感染した方)、(イ)二次感染者(一次感染者から母子感染等などによって感染した方)、(ウ)一次感染者や二次感染者の相続人に分かれており、上記の(ア)(イ)(ウ)のどれに該当するかによって集める資料が変わります。それでは具体的に解説していきます。

 

(ア)一次感染者

一次感染者は、以下の要件を満たす書類を用意する必要があります。

◎B型肝炎ウイルスに持続感染していること
・6カ月以上間を空けて連続した2時点におけるHBs抗原陽性・HBV-DNA陽性・HBe抗原陽性のいずれかの検査結果
・HBc抗体陽性(高力価)を示す検査結果
のうちいずれか

◎満7歳になるまでに集団予防接種等を受けていること
・母子健康手帳
・予防接種台帳(市区町村が保管している場合)
母子健康手帳または予防接種台帳を提出できない場合は以下の書類を用意する必要があります。
・予防接種台帳に接種記録がない、または母子健康手帳を提出できない事情を説明した陳述書(親か本人が作成)
・接種痕が確認できる医師の意見書(医療機関で作成)
・満7歳になるまでの居住歴が確認できる住民票または戸籍の附票(市区町村で発行)
のうちいずれか

◎集団予防接種などにおける注射器の連続使用があったこと
予防接種法が施行された1948年7月1日から1988年1月27日までの間に集団予防接種などを受けた場合は、特別の事情がない限り注射器の連続使用があったものと認められます。
母子健康手帳または予防接種台帳を使用する場合には、それらの記載により、1948年7月1日から1988年1月27日までの間に集団予防接種等を受けたことを確認します。予防接種台帳に接種記録がない、または母子健康手帳を提出できない事情を説明した陳述書や接種痕が確認できる医師の意見書などを使用する場合には、戸籍等により、1941年7月2日から1988年1月27日までの間に出生していることを確認します。(この場合、満7歳になるまでの間に集団予防接種等を受けたことがあることが推認されます。)

◎母子感染でないこと
母子感染は、乳幼児期にB型肝炎ウイルスに感染する主な原因とされています。そのため、集団予防接種で感染したと主張する場合は母子感染でないことを証明することが必要になります。
・母親のHBs抗原が陰性、かつHBc抗体が陰性(または低力価陽性)の検査結果
・母親が死亡している場合は、年長の兄姉がいずれもB型肝炎ウイルスの持続感染者ではないこと
・その他、医学的知見に基づいて母子感染ではないと認められる場合(例:母親は死亡しているが、原告は双子の兄で、双子の弟はB型肝炎ウイルスに未感染の場合)
のうちいずれか

◎その他集団予防接種等以外の感染原因がないこと
B型肝炎ウイルスは、母子感染以外にも、輸血、父親などからの家庭内感染など様々な感染経路があります。このような理由で感染した場合には、予防接種との因果関係が否定されるため、B型肝炎給付金が支給されません。そのため、基本合意書において提出が必要なカルテなどの医療記録で輸血、父親などからの家庭内感染ではないかを確認します。書類は以下の通りです。
・カルテなどの医療記録
・父親と本人のB型肝炎ウイルスの塩基配列を比較した血液検査結果
・B型肝炎ウイルスがジェノタイプAe型でないことを示す検査結果
※ジェノタイプAe型は日本では1996年以降に感染が確認されたウイルスです。

 

(イ)二次感染者

二次感染者は、以下の要件を満たす書類を用意する必要があります。

◎母親が一次感染者であること
先ほど解説した一次感染者の以下の要件を満たす書類が必要になります。

・B型肝炎ウイルスに持続感染していること
・満7歳になるまでに集団予防接種等を受けていること
・集団予防接種などにおける注射器の連続使用があったこと
・母子感染でないこと
・その他集団予防接種等以外の感染原因がないこと

◎本人がB型肝炎ウイルスに持続感染していること
先ほど解説した「6カ月以上間を空けて連続した2時点におけるHBs抗原陽性・HBV-DNA陽性・HBe抗原陽性のいずれかの検査結果」などの書類が必要になります。

◎母子感染であること
医学的知見に基づいて母子感染であると認められる以下の書類を用意する必要があります。
・本人が生まれた直後、すでにB型肝炎ウイルスに持続感染していたことを証明する書類
・本人と母親のB型肝炎ウイルスの塩基配列を比較した血液検査結果

 

(ウ)一次感染者や二次感染者の相続人

一次感染者や二次感染者の相続人は、先ほど解説した亡くなったご家族が一次感染者、または二次感染者であることを証明する書類が必要になります。また、相続人は戸籍謄本など亡くなったご家族の相続人であることを証明する書類が必要です。

②裁判所に提出する訴状などの書類の作成

必要な資料が準備できたら、裁判所に提出するための訴状などを作成します。
訴状には、どのような請求を行うのか、その請求が認められるために必要な法的根拠、具体的な事実などを記載する必要があります。
そして、先ほど解説した必要書類(証拠資料)が訴状のどの部分に対応しているかの一覧(証拠の一覧)を作成します。証拠資料には、「甲1」、「甲2」などの証拠番号を記載し、ページ番号を忘れずに記載しなければいけません。

③国を被告として、国家賠償請求訴訟を提起する

国を被告としてのB型肝炎ウイルスの国家賠償請求訴訟は、以下の裁判所に提起が可能です。
・現在住んでいる地域の裁判所
・被告(国)の所在地の裁判所(東京地方裁判所)
・集団予防接種を受けた地域の裁判所
なお、全国B型肝炎訴訟弁護団と国との合意によって、札幌、東京、新潟、静岡、金沢、大阪、広島、鳥取、松江、福岡の各地方裁判所については、現在住んでいる地域にかかわらず訴訟を提起することができる場合があります。

④和解協議手続、和解成立(和解調書の作成)

提出した証拠資料が和解の要件を満たしていることが証明できれば、国と和解が成立します。そして、裁判所は和解の内容を記載した「和解調書」を作成します。

⑤社会保険診療報酬支払基金への支払請求

和解が成立した後、社会保険診療報酬支払基金に支払請求を行います。支払請求をする時は、支払請求書や和解調書などが必要になります。

最後に、B型肝炎給付金の請求期限は2027(令和9)年3月31日までとなります。請求期限を過ぎるとB型肝炎ウイルスの国家賠償請求訴訟ができなくなりますのでご注意ください。

■B型肝炎給付金を申請する時は弁護士に依頼した方が良いの?

B型肝炎給付金の申請方法や必要書類などについて解説してきましたが、必要書類を集めたり、裁判所に提出する訴状の作成など、手間がかかることが多いと感じられたかと思います。
また、B型肝炎給付金の申請は初めて申請する方がほとんどです。初めて自分で申請する場合、必要書類や訴状の不備などで書類の出し直しなどが発生することもあり得ます。
これらの手間と労力を考え、ご負担に感じられた方は弁護士へご相談ください。なお、すべての弁護士がB型肝炎給付金の専門というわけではないため、弁護士事務所のHPなどを見て、B型肝炎給付金を専門にしている弁護士に依頼することをおすすめします。

また、必要資料は必ずしも全て集まらないこともあります。保管期限が切れていたり、既にお亡くなりになっている場合があるからです。しかし、そのような場合でも、周辺の事情や証拠から給付金請求が出来る場合があります。必要資料が集まらない場合にどのような資料で立証できるか、また、実際に国が認めるかについては、カルテ記録を検討したり、今までの国とのやりとりの実績があれば見通しが立てやすいです。そのような場合には弁護士に依頼するメリットが大きいです。
ただし、法律事務所の費用は現在自由化されており、また、広告費をかけるかけないといった事情から弁護士費用は事務所によってさまざまですので、いくつかの事務所を比較検討することをおすすめします。

■さいごに

B型肝炎給付金の申請方法や弁護士に依頼した方がいい理由などについて解説してきましたが、必要書類の収集や訴状の作成など手間と労力を考えると、ご自身で手続きするよりも弁護士に依頼する方が負担が少なく感じられたのではないでしょうか。

当事務所では、これまで数多くの医療事件を取扱い、カルテの読み込みなど医療事件特有の作業においてもノウハウを築いてきました。ご相談にはB型肝炎給付金を専門にした弁護士が応じます。ご相談お待ちしております。

《参考文献》
・「B型肝炎訴訟について」(厚生労働省HP):https://x.gd/tT3jS
・「B型肝炎訴訟の手引き」(厚生労働省HP):https://x.gd/18lVP

 

B型肝炎給付金の相談なら医療問題専門の法律事務所が安心です/弁護士法人フラクタル法律事務所

 

YouTube CM 放映中


 

LINE公式アカウント・X(旧Twitter)開設中

*LINE相談はじめました*
フラクタル法律事務所のLINE公式アカウントにご登録いただきますと、LINEからお問い合わせ・ご相談いただくことができます。
その他、メディア出演や講演会のお知らせ、法律コラムなど当事務所の弁護士を身近に感じていただけるような情報を配信していますので、是非友だち登録をお願いします。

フラクタル法律事務所のX(旧Twitter)を開設しました。
メディア出演や講演会、法律コラムなど当事務所の弁護士を身近に感じていただけるような情報を配信しています。
X(旧Twitter)アイコンからフォローしてください♪

弁護士法人フラクタル法律事務所
〒107-0062 東京都港区南青山6-7-2 VORT南青山Ⅰ-7階
TEL.03-6447-4307/FAX.03-6447-4308

Copyright © 弁護士法人フラクタル法律事務所 All Rights Reserved.

B型肝炎給付金請求のしおり
ダウンロード